君と、世界の果てで
(3)心当たり
どれくらい、そうしていたのだろう。
「いってぇ……」
ひどい頭痛がする。
次から次へと溢れた涙。
もう止まらないんじゃないかと思ったが。
「止まるもんだな……」
深音の母親が帰ってから、まだ香水の香りが残るベッドで、泣き続けた。
涙を流したのは、陸の葬儀の日以来だ。
あぁ、そうだ。
誕生日の日、深音は言っていた。
『明日死んだらもう言えない』
『陸も、水族館のシャチも、突然死んじゃったじゃない』
あれは、智に襲われた恐怖から出た言葉じゃなかったんだ。
本当に、自分の死を身近に感じていたんだな。
俺は……何やってたんだ……
何も、気づきもしないで。
ただ、幸せな日々が続くと信じていた。
愚かすぎるだろ。
まだ、間に合うだろうか。
何か俺に、できる事があるだろうか。