君と、世界の果てで
この活動再開までの間に、深音は海辺の家に引越しをした。
引越しと言っても、荷物は衣類とミシンとほんの少しの日用品で、半日で終わってしまった。
それより大変だったのは、両家への報告。
深音の父親は、母親に説得されたのか、
「いーよいーよ、ついでに嫁に出そうか」
なんて笑っていた。
きっと自分だって娘と過ごしたいだろうに。
少しの罪悪感が残ったが、深音の好きなようにさせてやりたいという言葉に甘える事にした。
それより緊張したのは、実家に深音を連れていった時だ。
そんな病気の娘さんと暮らして、もし何かあっても責任がとれない。
事前に報告した母親が、そう言っていたからだ。
とにかく、一度会わせろと言うので、親父もいるときに深音を実家に連れていった。