君と、世界の果てで
何故だろう。
悪い冗談を、昨日死ぬほど食らったからだろうか。
昔の事ばかり思い出す。
運転に集中しよう。
そう思い直して30分ほどしたところで、陸の家に着いた。
海が見える、元喫茶店。
会社の所有物件だ。
古くて、なかなか買い手がつかない。
ロココ調をイメージしたような、装飾過剰な外観と。
大正時代をイメージしたような、内観のミスマッチが原因だろうか。
「あいついるかな……」
一応、チャイムを鳴らそうとした瞬間。
「兄貴?」
ちょうど、外から帰ってきた陸に、声をかけられた。
手にはコンビニの袋を持っている。
「遅かったか……」
「え?何?」
「母さんから、弁当」
「マジで?!いいよ、夜食うから!ラッキー」
陸は、弁当の包みを受け取り、小躍りした。
「それと、ホレ」
弁当よりこっちだろ。
そう言って、ポケットに入れていたスマホを渡してやる。
すると、陸の顔がたちまち曇った。