君と、世界の果てで
「いや……意外と普通だって。
便所も行くし、鼻毛も伸びる。
好物なんて、親子丼とイカの姿焼きだし」
「イカ!?早く言いなさいよ、クッキーしかないわよ!?」
「いや、菓子類は何でも食うよ」
「あんなに細いのに!?
しかもなんであんなにおっぱい大きいの!?」
「知らねぇよ!
何でも良いから早くしろ!」
先にキッチンから脱け出し、深音の隣にドカッと座った。
両親は震える手で、コーヒーや菓子をゆっくり運んできた。
「で、前もって言ってあるけど、同棲を許してほしい」
もう、さっさと帰りたかった。
両親が芸能人を見る目で深音をマジマジと見るからだ。
深音は平気で、静かな微笑みを保っている。
「あ、あの……病気って……」
「心臓の弁の不具合です。
普段は薬を飲めば、普通の生活ができます。
たまに発作が起きる事もありますが、専用の薬を飲めば、落ち着きます」