君と、世界の果てで

深音が淡々と言うのを聞いて、母親の方が泣きそうな顔をした。



「それで……治るの？」


「移植待ちだ」


「あんたには聞いてないわよ。

深音さん、ご両親は承知されてるの？」


「はい。両親は翼さんを信頼していますから」



深音は優しく、にこりと笑った。


……猫被りやがって。


本当はまぁまぁ性格悪いくせに。



「……もし何かあっても、責任とれませんよ？」


「はい」


「……母親としてはね、あまり……息子につらい思いをさせたくないんです……」



申し訳なさそうにうつむかれ、深音の顔が曇った。



「だけどね……、貴女の幸せを願うご両親の気持ちもわかるのよ……

私も、陸を亡くしたばかりだから……」


「……」



俺達が黙っていると、父親が母親の肩をぽんと叩いた。