君と、世界の果てで
なぁ、陸。
お前が尊敬してた兄貴に、少しは戻れたかな。
お前が深音に会わせてくれたおかげで、また作曲に向き合う事ができた。
お前のおかげだ、陸。
新曲2曲を通して、その日の練習は終わり。
話足りない崇文の提案で、近くのファミレスで夕飯を採る事になった。
「しかし、本当に新境地だわ、この新曲。
可愛いもん、なんか」
崇文はウットリとスコアを眺めた。
1曲は、今までのWORLDS ENDらしく、装飾過剰の悲劇的イメージを保ったもの。
疾走感のある、激しい曲。
崇文が言うのは、もう1曲だ。
これは、深音のリクエストで。
ロックだけども、恋する乙女の曲。
悲劇的エッセンスの代わりに、乙女エッセンスを足せなどと意味のわからないことを言われて、試行錯誤し、めちゃくちゃ苦労した。
だって、わかるわけないじゃないか。
恋する乙女の気持ちなんか。