君と、世界の果てで
それでも、今までの深音との幸せな記憶を手繰りよせて。
二人で何とか縫い上げた、パッチワークみたいな作品になった。
「本当だな。こっちは苦手分野だったのに。
職人の翼が帰ってきたか」
渚がニヤニヤしながら、フライドポテトをつまむ。
「ねぇ、曲が素晴らしいのはわかったけど、歌詞は?」
作詞を担当した深音が口を挟む。
「あぁ、良いけど……これ、ノロケじゃん。恥ずかしいよ」
「うっ」
意外と冷静に崇文に突っ込まれ、深音は言葉を詰まらせた。
「陸の方が才能あったな」
「ヒドイ!」
「え?弟君、詞も書けたの?」
「いや……俺も知らなかった」
「陸が書いた曲の詞は全部陸ですよ。
深音は女言葉に直しただけ」
ああ、だからか。
感じが違うと思ったんだよな。
今までだって、わりと陳腐な方だと思ったけど(ゴメン、陸)。
深音が書いた詩は、また一層……陳腐と言うか……ストレートだったのだ。