君と、世界の果てで
「あぁ……ありがと」
「昨夜来るかと思ったけど、来なかったな」
「だって、……」
陸は眉を寄せ、口を結んだ。
この薄い反応はなんなんだろう。
待ち受け画面を見られたと思って、照れているのだろうか。
慌てて、照れ隠しに冗談を飛ばすと思っていたのに。
「……とにかく、ありがと」
「待受、母さんは見てないから」
「見たら、何て言われるかな」
「寒そうだから、胸元隠しなさい!」
「ははっ。言いそう、言いそう」
いつの間にか、いつもの表情に戻った陸を見て、安心した。
「ごめんね。
せっかく来てもらったけど、今からまたバイトなんだ」
「そうか。しっかり稼げよ」
陸の細い肩を叩いて、その場を後にしようとした。
ら、陸に袖をつかまれた。
「ねぇ、兄貴」
「あぁ?」
「……俺にもしもの事があったら……ミオをよろしくね」
「はぁ?」
切実そうな声に、どきりとして振り返ると。
陸は、泣きそうな顔をしていた。
「何かあったのか?もしもの事って、何だ?」