君と、世界の果てで
「翼さん、大変!
ビーズが足りない!」
そう深音に言われて、初めて二人で駅前に買い物に出かけた。
深音曰く、ここら辺では、駅前の大きな手芸店にしか、そのビーズはないのだという。
ちょうど春休みだからか、その手芸店は予想より賑わっていた。
ハッキリ言うと、手芸なんざ、全く興味ない。
ただ深音を一人で出歩かせられないから、ついてきただけだ。
そんな、今日も全身パンクな俺は、店内で思いっきり浮いていた。
深音はそんな俺をよそに、色とりどりのビーズにうっとりしている。
「早くしろよ」
宝石でもないのに、そんなものにうっとりできる乙女心は、やっぱりよくわからない。
深音は目当てのビーズを探しだすと、名残惜しそうにレジに向かった。
店の奥の布のコーナーには、深音と似たような、フリルをふんだんに使った人形みたいな服の女の子が何人かいた。