君と、世界の果てで
深音は鞄に中身を戻すと、ゆっくり立ち上がった。
「大丈夫なのか?病院は?」
「薬が効いたから大丈夫だよ。
よく、冷静に対応できたね。
あたしならテンパっちゃう」
冷静なんかじゃない。
とっさに薬を飲まさなければと思っただけだ。
しかも錠剤だけだと思っていた薬は、顆粒まで増えていた。
「疲れたんだろ。おぶされ」
「やだ、恥ずかしい。
ランチがてら、そこで休んでいこうよ」
深音はさっさとカフェに入ってしまった。
一部始終を見ていた店員がビビっている。
……薬が増えた。
激しい運動も、怖い出来事もないのに、発作が起きた。
それって……ヤバイんじゃないか……?
少し悪くなっていた、とはどの程度の事なんだろうか。
俺は、深音の発作を目の当たりにして。
初めて。
自分が何の理解も覚悟もしていなかった事を、思い知った。