君と、世界の果てで
「WORLDS ENDさん、間もなく開演です。
こちらにどうぞ」
俺達は初めて円陣を組み、気合いを入れた。
袖に入ると、観客のザワザワとした声が聞こえる。
「翼さん」
「あぁ?」
深音がバッチリメイクをした顔で近づいてきた。
「余計な事考えないで。
お客様に失礼だよ?」
「……わかってる」
「……翼さんが、死ぬまで歌えって言ったんだからね?」
ハッとする間もなく。
彼女がニコリと笑うと、開演ブザーが鳴った。
ひらりと裾を翻し。
高い木のソールの靴音を鳴らしながら、彼女は颯爽と舞台に登場した。
するとそれだけで大きな歓声が上がる。