君と、世界の果てで
観客は誰も跳びはねなかった。
誰も腕を振らなかった。
ただ、星空に見とれる子供の目でステージを見つめていた。
静かに曲が終わると、すすり泣きのような声があちこちから聞こえ、その後で。
満開の拍手が贈られた。
まるで、天使が降り立ったような、
白い衣装に身を包んだ深音は、静かに微笑んでいた。
崇文に恥ずかしいと罵られた歌詞は。
俺にとっても、やはり恥ずかしいけど。
こんなストレートで、陳腐で。
だけど最高のラブレターを。
もらえる幸せ者が、他にいるだろうか?
ちらりと見た崇文の目にも、うっすら涙が浮かんでいて。
俺まで、息が苦しくなりそうだった。
だけど、泣いてる場合じゃない。
終わりたくない。
だけど。
幕が降りる時間は確実に近づいている。