君と、世界の果てで
(4)二人の葛藤
「じゃあ、4時に迎えにくるから」
「ありがとう」
「本当に付き添いはいらないんだな?」
「うん。定期検診だもの。
あと、薬をもらうだけ」
「そうか」
総合病院の入口で、深音は小さく手をふった。
あのワンマンライブから、10日が経った。
ライブは成功に終わり、俺達は、地元で有名なバンドとして認知されるようになった。
崇文なんかは、撤収しながら感動してボロボロ泣いていた。
硫酸事件があったので、出待ちファンはいないと思っていたが。
前の倍の数の人間に、俺達は囲まれてしまった。
ただ、ライブハウスのスタッフが彼等を整理し、メンバー同士が離れないようにはしてくれたが。
応援は本当にありがたいが、プレゼントの多さには参ってしまった。
特に食べ物は、怖くて手がつけられないまま。
結局、崇文が全部持ち帰った。