君と、世界の果てで
バスタブにつかった深音は、泡に包まれていた。
その上にファンからもらった花束のバラをちぎって浮かべて、うっとりしている。
浴室には、湯気とバラの香りが充満していた。
「……何してんだ……」
映画か漫画か。
現実にやるやつっているんだ。ある意味、パンクだな。
「一回やってみたかったの。
でも家でやったら怒るでしょ?」
「激怒だな。掃除するやつが気の毒だ」
「いいから、早く」
「はぁ?」
「入っておいでよ」
……めまいがした。
正直、赤やピンクの花びらを、裸の肌に貼りつかせた彼女は、すごく綺麗だと思う。
久しぶりに、浅ましい欲が頭をもたげてきてしまいそうだ。
だが、自分がその浴槽に入るとなると…………ひく。
でも。
「どうせ、俺に拒否権はないんだろ……」
「正解」
「はぁ……」
最近こんなのばかりだ。
ええいままよと服を脱いで、泡と花びらでいっぱいの浴槽に入った。