君と、世界の果てで
「……治ったら、好きなだけできるだろ……」
涙を唇ですくってやると、深音はふふ、と笑った。
「やだ、やらしい、翼さん……っ……」
「お前ほどじゃねぇよ……」
「……ねぇ、続き……」
「……あぁ?……しょうがねぇな……」
「ふふ、それ、すっかり口癖……だね……」
約束通り、一回だけ。
泡と花びらのバスタブの中で。
天使のように、真っ白な彼女を抱いた。
よくできたなぁと、自分でも思うけど。
本当にあの夜は大丈夫だった。
ただ、その3日後と、5日後。
深音は、発作を起こした。
薬を飲んで、大事には至らなかったが。
着実に、彼女の病状が悪くなっている事は、明らかだった。