君と、世界の果てで
途中から崇文が号泣しだして、話がよくわからなくなってしまった。
急すぎる。
ワンマン一回で、いきなりメジャー?
ありえない。
深音だけをアイドルかグラビアとして売るならわかるが。
今時、何の実績もないロックバンドに、いきなりそんな事が起こるか?
昔にも、メジャーの話が来た事はあったけど、こんなに急じゃなかった。
なかなか信じられず、素直に喜ぶ気になれなくて。
とにかく、メンバー全員でその事務所と話をしようと言って、電話を切った。
ありえない。
ありえないけど。
もし、本当なら……
日に日に弱っていく深音の、新たな活力になるかもしれない。
あたしの歌、認められたんだぁ、と。
喜ぶ顔が浮かんで、いても立ってもいられず。
約束の時間にはまだ早かったが、俺は病院に車を飛ばした。