君と、世界の果てで
智が、怖ぇーと言いつつ、笑っている。
その目は完全に飛んでしまっていた。
「……あたしが、何をしたって……?」
聞いた事のない声だった。
今のは、深音か?
冷たく、全てを氷らせるような声。
「……どうして、陸君を殺したの?」
紗江の静かな声がした。
言葉はすぐに脳に染み込まない。
何?
深音が、陸を。
殺した?
深音が、静かに口を開く。
「……彼を、苦しみから解放したかった。
あなた達が、陸を地獄に突き落としたから!
気が狂う程の地獄にね!」
軽蔑を込めた声が響く。
その顔は、まさに小悪魔だった。
「それは、しょうがないじゃない……。
陸君がおかしいのよ」
紗江が、深音の迫力に圧されないように、少し声を荒げた。
「彼を悪く言わないで。
あんたみたいなお嬢様より、よっぽど素敵な人だった」