君と、世界の果てで
「深音を離せ……!」
体は勝手に、彼らの前に出ていった。
智は思わず手を放し、舌打ちをした。
「お前……!」
「翼……!」
紗江が驚いた顔をする。
深音は。
青い顔で、言葉を失っていた。
「翼、聞いてたの……?」
紗江が一番先に口を開く。
「……行くぞ」
俺は質問には答えずに、深音の手を引いて歩きだした。
「弟を殺した女がそんなにいいか!?」
智の声に、深音がビクリと肩を震わせたのがわかった。
「あぁ……?」
「もう十分楽しんだろ。
それを譲ってくれよ」
「……うるせぇ……」
「なぁ、良いだろ?
何だよ、そんなにそいつの体は具合が良かったのか?
俺にも味わわせてくれよ」
「……黙れ!!」
ぶつり、と何かが切れる音がした。
切れたのは、俺の頭の線なのか。
それとも。
俺と深音の絆か。