君と、世界の果てで
そこから、どうやって帰ってきたかは、覚えていない。
海辺の家に着くと、俺は深音を二階に連れていった。
太陽が沈みかけ、部屋が赤く染まっている。
ベッドに座った深音を、立ったまま見下ろした。
「……どういう事だ……?
殺しただの、復讐だの……
ついてけねぇよ。
説明しろよ」
深音はうつむいたまま、黙っている。
「……何で俺だけ、蚊帳の外なんだよ……」
「……」
「……深音」
みしみしと、破滅の音がする。
聞いてはいけない。
聞かなければ。
今までと同じようにできるはずだ。
何で、それができない?
どうして。
せまる恐怖と同じくらい。
この耳は、真実を求めてしまうんだろう。
「……本当に、知りたい?」
静かな部屋に、彼女の透き通った声が響いた。