君と、世界の果てで
「時間がかかってもいい。
陸を、弟のまま受け止めて」
「だから、陸、陸言うな!!」
ビクリと震えて、悲しい顔のまま、深音は黙った。
「俺まで、嫉妬でおかしくなりそうだ……!」
手で頭を押さえても。
頭痛は一向になくならない。
深音が、陸を想う気持ち。
それが、つらい。
誰よりも愛した人が、他のやつを見ている。
陸は、こんな想いを抱えていたのか。
ああ、ダメだ。
初めて、陸が憎いと思う。
初めて、深音が憎いと思う。
「……これが、紗江の言う、復讐ってわけか……」
「翼さん……」
「迫真の演技だったな。
持病まで使って……
好きでもない男に抱かれて」
「……っ、違うの!
それは、違う……!」
深音が涙を流しながら、俺を見つめた。
濡れて光る、大きな瞳。
ああ、愛しい。
でも、憎くて仕方がない。