君と、世界の果てで
(3)なあ
「ボーカルの子、辞めちゃったのかい?」
「はい。彼女は心臓に病を抱えてまして。
体力的に、限界だという事です。
すみませんでした」
あれから、1週間。
深音から連絡はない。
俺からもしていない。
荷物も置いたままだ。
暖かいなと思って、気づけば4月が来ていた。
深音からは、崇文だけに、病気が悪くなったから辞める、と連絡があったそうだ。
その連絡があったのは、あの日から4日後。
あまりの衝撃に、崇文は、約束していた芸能事務所との会合を忘れていて。
当日思い出し、こうして平謝りに来たのだった。
しかも崇文、俺の入社式に被せてやがって。
入社式を終えた俺は、スーツのまま、会合場所のライブハウスに乗り込んだ。