君と、世界の果てで


のんきな社員の様子に、思わず、深音の父親を思い出した。


……今頃どうしているだろう。


急に帰ってきた娘は、何と説明したのだろう。



なぁ、深音。


メジャーだってよ。


しかも俺が、ベース兼ボーカル。


仕事の合間を縫って、曲を全部書き直して。


ライブもやれってよ。


こいつら鬼だよな。



なぁ。


深音。



お前なら、どうする?



……聞くまでもないか。



「……わかりました。

ライブが決まり次第、ご報告します」


「うんうん、頑張ってね」


「あの……でも、どうして……

今更、ロックの新人なんかを?」



疑問に思っていた事を聞いてみた。


今の世間はロックなんか、聞いちゃいない。


宴会で真似して踊れるような、アイドルグループばかりが人気だ。

< 433 / 547 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop