君と、世界の果てで
目を閉じなくても、鮮やかに甦る。
深音の、ビスクドールのような顔。
小悪魔な目線。
可愛い、お願いポーズ。
真っ赤に頬を染めた、ベッドの中の温かさ。
真珠のような涙。
透き通った歌声。
甘い、花の香り。
なぁ、深音。
どうしてくれる。
こんなにたくさん、荷物を置いていきやがって。
「書ききれねぇよ……」
虚無感の理由には、とっくに気づいていながら。
何もできず、ただ煙草の吸い殻だけが、灰皿を満たしていった。