君と、世界の果てで
(4)弟
「……何でもできて、逆にイヤミですね」
それは、練習で歌を歌った俺への、崇文の感想だった。
待て待て。
必死で練習したんだ、これでも。
努力の賜物と言ってくれよ。
「いや……ヤバイだろ。
歌いながらだと、ベースがブレる」
「そりゃ、慣れるしかないな」
俺の泣き言なんか聞きたくないと言わんばかりに、渚が淡々と言った。
リーダーと言うか、鬼コーチと化したな……。
俺達は黙々と練習した。
アマチュアのライブには、下手なやつも平気で出るが、あまり無様な真似はしたくない。
5月のタイバンに申し込み、それまで練習に徹する事にした。
「あの……“Dear you”は……」
「……一応書いたけど、大幅に書き直したぞ。ホレ」
「……」
「……感想はいらねぇからな。
って言うか、何も言うな」
「はい……」