君と、世界の果てで
「ないでしょうね。まだ捜査中ですが。
彼は、死後すぐに発見されました。
発見者は、他に誰も目撃していません」
「その発見者が、やったという可能性は?」
「ありません。
貴方のような、背が高く、力のある男性なら、可能かもしれませんが。
発見者は、そうではありません」
どうしても、自殺にしたいのか。
事件になれば、面倒くさいから。
若いフリーターが死んだだけで、真剣に捜査なんかできるか。
そう言いたいのか。
と、怒鳴ってやりたかった。
しかし、陸の意外に安らかな寝顔が、俺の言葉を奪った。
『……俺にもしもの事があったら……ミオをよろしくね』
もう直接鼓膜を震わせることのない声が、頭の中で再生される。
もしや、陸は、昼の時点で、死ぬつもりだったのかもしれない。
「それに、遺書らしき書き置きもありました」
刑事が、写真を取り出した。
静かに、俺に手渡す。