君と、世界の果てで
「あ……と、ご無沙汰してます」
『こちらこそ。すみません、今お時間は……』
「大丈夫です」
心臓が激しい鼓動を打つ。
もう、二度と話す事は無いと思っていたから。
『あの……荷物、ありがとうございます。
無事に届きました』
「いえ……すみません……。
本当なら直接伺うべきなのに、忙しくて。
遅くなって、すみませんでした」
電話の相手にペコペコしてしまう上司の気持ちがわかった。
自然と、体が縮こまる。
不義理をしたのは、完全にこちらなのだ。
『あの……』
深音の母親は、言葉につまったようだ。
沈黙に耐えられなくて、何か話さなければと思った瞬間。
すすり泣きのような声が、むこうから聞こえてきた。
『堺沢さん……すみません……
本当に申し訳ないんですが、お願いがありまして……』