君と、世界の果てで
「実物は、捜査が済んだらお返しします」
俺は、もう二の句をつぐ事ができなかった。
写真には、一枚のメモが残されていた。
『みんなごめん
兄ちゃん、ベースは返す
おさきに』
兄ちゃん。
幼い陸の呼ぶ声が聞こえた気がした。
叫びたいのに。
声が出ない。
陸。
何でだよ。
大丈夫って、言ったじゃねえか。
突然、膝の力が抜けて。
床の冷たさが、下半身に伝わった。
涙がジャケットに落ちて、ボタボタと音を立てる。
何もできなかった。
異変は感じていたのに。
何も。
できなかった。
ごめん。
ごめんな、陸。
ダメな兄貴で。
ごめんな。
何故か俺は、先程見た流星を思い出した。
あれに乗っていったのか、陸。
死んだ猫に会えたか。