君と、世界の果てで
車は向きを変え、その顔をこちらに向けた。
辺りが暗くなる中、ライトもつけない、凶暴な車。
何だ?
一体、何が起きた?
車は、エンジン音を響かせた。
それが、獣の咆哮に聞こえたのは、俺だけだったのか。
今気付いたように、ライトがつく。
それが、俺の目を眩ませた。
まずい。
もの凄い、スピードで、
こっちを、
狙って…………
「さと……」
光に、飲まれた。
ドン、
と、鈍い音がして。
景色が、飛んだ。
暗い空。
ライブハウス。
灰色の、アスファルト。
そして。
ほんの、一瞬だけ。
潰れた、ベースケース。