君と、世界の果てで


一瞬、意識が飛んで。


戻ると、そこは冷たいアスファルトの上だった。


轟音が響き、悲鳴が大きくなった。


こちらへ人が駆け寄ってくる。



「おい、しっかりしろ!!」


「人がひかれたぞ!!」


「早く、救急車を!!」



あぁ、俺……


ひかれたのか。


どうりで、体が動かないはずだ。


どこが、どうなってるのかわからない。



「意識はあるぞ!!」


「……ケータイ……」


「ケータイ?あ、これだな!ほら!」



深音に、連絡しなくては。



あぁ、先に巻き込まれたあの中に、いませんように。



深音。



ごめん。



深音……



通行人がケータイを開いてくれるが。



もう、霞んで何も見えない。



深音。



お前の顔が、見えない。



……寒い……



ああ……



終わって、しまう……






深音……






どうか、無事で……



< 492 / 547 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop