君と、世界の果てで


深音は、今、どこにいるかわからない。


何をしているのかも。


生きているのかさえ。


俺が死にかけて、すぐ崇文が深音に連絡をしてくれた。


しかし、その時点で、深音のスマホは繋がらなくなっていた。


何度かけても。


俺がそれを知らされたのは、意識が戻った時だった。


崇文によれば、事故当日は、『電源が入っていない』というアナウンスだったらしい。


それが何日かたって、『この番号は使われていない』に変わったそうだ。


メールをしても、宛先不明エラーになった。


実家も連絡がつかない。


きっと、あのライブの日に、深音にも何かが起きたのだ。


しかし、それを確認する術はなかった。


やっと退院して、直接実家を訪ねた時には。


あの白い洋風の家は、空き家になっていた。


綺麗に手入れされていた庭の草木は延び放題で。


その中に、『売地』という看板が立っていた。


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