君と、世界の果てで
「あぁ……帰れたら帰る。
しょうがないだろ?仕事なんだから。
墓参り?だから、わかんねぇって」
久しぶりに、母親に電話をした。
上京してから初めて、帰る事になったので。
両親は、駅に親戚を集めて、『翼くん凱旋おめでとう』という横断幕を持って迎えに行くとか、張り切っていたが。
もちろん、丁重に断った。
ライブ以外にも、ラジオ出演や、なんやかんやがあって。
実家でのんびりできるかは、正直微妙だった。
陸の墓も、長い事参ってない。
何とか時間を作って行きたいなと、崇文と話をした。
海辺の家は、まだ買い手がつかず。
取り壊し、更地にする事が決まったようだ。
深音がもし戻ってきたら悲しむかもしれない。
しかし、彼女が戻る可能性は、買い手がつくのと同じくらい、低いと思われた。
最後に見る事も、かなわないだろう。