君と、世界の果てで
なぁ、深音。
夢が叶ったんだ。
演出も宣伝も予算も、アマチュアとは比べ物にならない。
大型トレーラーを何台も使って機材を運んでもらって。
移動にはサングラス必須。
人が集まる場所には一人で行くのは禁止。
恋人もいないのに、パパラッチが貼り付いて。
スタッフの生活まで、この肩に乗ってるんだ。
贅沢言っちゃ悪いけど。
君と二人で暮らしてた時が、一番幸せだったって。
今でも、断言できる。
それでも、いつか君が戻る事を信じて。
孤独に引き裂かれそうになる事もあるけど。
そんな時ほど、君が好きそうな歌を書いてるんだ。
なぁ、深音。
探偵か何かに頼めば、君が今どうしているか、すぐわかるのかもしれない。
でも、俺はそれができないでいる。