君と、世界の果てで
苦しい、と顔を上げた彼女の唇を。
昔と同じように。
自分の唇でふさいだ。
俺が与えた、花の香りがする。
それで肺を満たし、彼女の瞳を見つめると。
うっすらと涙が溢れ、いくつもの照明を反射して。
星降る夜空の輝きに変わる。
愛しい、愛しい、地上の至高の宝石。
ただ一人の君。
「……愛してる。」
ずっと、伝えたかった。
その想いを受け止めた君は。
「……あたしも!」
と、一粒涙を流して。
再び、俺の胸に飛び込んだ。
歓声と悲鳴と拍手がホールを、俺達を満たしていく。
「……歌えるか?」
渚と崇文が指示を出し、深音にスポットライトが当てられる。
「最後の曲。
“World's end”」
曲名を聞いた深音は、ニコリと笑った。