君と、世界の果てで
「翼さんが、ベースを弾いてくれるなら」
「……弾くよ。当たり前だろ?」
スタンドからマイクを外し、深音に渡す。
その横で、ベースを構えた。
目をこすった崇文のギターソロが始まると。
呆気に取られていた観客達が、意識を取り戻す。
俺のベースと同時に放たれた、深音のシャウトに乗って。
床を蹴り、跳ねはじめる。
空間が揺れる。
照明に焦がされる。
やっと、たどり着けた。
俺が生きたかった場所。
ステージに立つ、君の後ろ。
俺の世界の全て。
俺の、世界の果て。
───さぁ、歌え!