君と、世界の果てで


「陸くん……!」



紗江の、一層大きな泣き声が響く。


参列者は、スタッフに配られた花を、順番に棺に入れた。



俺は、隅で突っ立っている二人も呼び寄せた。


深音は、その大きな目から、ポロポロと涙を流して。


陸と、対面した。



「陸、良かったな。

最愛の彼女が来てくれて」



俺の言葉を聞いたのか。


深音の美しさに圧倒されたのか。


他の参列者が、場所を開ける。


紗江だけは、泣きながらこちらを訝しげに見つめた。



「陸……」



二人は、泣きながら花を添えた。


崇文は、ズルズルと鼻をすすって。


声を抑えられなくなったのか、すぐにまた隅っこに戻ってしまった。



一方、深音は。



壊れた人形のように。



次々溢れる涙をぬぐおうともせず。



ポケットから、静かに何かを取り出した。



「一緒に、連れてってもらって、いいですか」



その白い手を、俺に差し出した。

< 52 / 547 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop