君と、世界の果てで
「陸くん……!」
紗江の、一層大きな泣き声が響く。
参列者は、スタッフに配られた花を、順番に棺に入れた。
俺は、隅で突っ立っている二人も呼び寄せた。
深音は、その大きな目から、ポロポロと涙を流して。
陸と、対面した。
「陸、良かったな。
最愛の彼女が来てくれて」
俺の言葉を聞いたのか。
深音の美しさに圧倒されたのか。
他の参列者が、場所を開ける。
紗江だけは、泣きながらこちらを訝しげに見つめた。
「陸……」
二人は、泣きながら花を添えた。
崇文は、ズルズルと鼻をすすって。
声を抑えられなくなったのか、すぐにまた隅っこに戻ってしまった。
一方、深音は。
壊れた人形のように。
次々溢れる涙をぬぐおうともせず。
ポケットから、静かに何かを取り出した。
「一緒に、連れてってもらって、いいですか」
その白い手を、俺に差し出した。