君と、世界の果てで
深音は、それはもう必死で抵抗した。
自分が加入するには、病気のことや過去のことを公表しなくてはならない。
しかし、あの場はさらに運の悪いことに、ライブDVDの収録日だった。
あの映像を使えなくするなら、それなりの賠償金を支払ってもらうことになる────。
深音はそう脅され、事務所の言いなりになって、新メンバーとして加入した。
深音はもちろん、その両親も、彼女の治療費ですっからかんだったからだ。
俺と深音の過去は面白おかしく脚色され、ドラマで新人俳優に演じられ……
世間の感動の涙を誘うと同時に、アンチWORLDS ENDを爆発的に増やした。
そんな風に宣伝して売れて、恥ずかしくないのか。
音楽で勝負はできないのか。
バッシングの日々は続いたが、ある日、別のバンドのボーカルが覚せい剤使用で捕まって、
話題は全てそちらへと移った。
……芸能界とは、そんなものだ。