君と、世界の果てで
「出してもらえるだけ、ありがたいと思えよ」
俺は控え室で、深音をなだめている。
これから始まるリハーサルが、俺たちのせいで押してしまうからだ。
渚と崇文は、あいさつ回りに行っている。
「それは、あたしたちが頑張ったからだもん。
やっと古いファンも戻ってきてくれてるし」
「ああ」
「だけど、1番だなんて許せない!」
紅組の1番。
何故それが、深音の勘に触るのかというと……
その座は長年、アイドル的存在が飾る順番だからだ。
若くて可愛い女の子が出てきて、華やかに番組の口火を切る……
そういう役割だから。
自分は真剣に歌って、バンドとして活動しているのに、何故アイドル扱いされねばならんのだ。
深音はそう言っているのだ。