君と、世界の果てで
余談だが、昔から運動をしなかったせいか、深音は全く踊れない。
PV(ページビューではなく、プロモーションビデオ)のためにやらせてみたら、それはそれは面白かった。
あんなに酷いダンスは見たことない。
なので深音は、歌って踊れるMiracleのメンバーを、心から尊敬していた。
同棲している俺たちの部屋には、彼らのDVDが何枚もある。
「ちょっと、やる気出たなー♪」
「そりゃ良かったな……」
ソンミンのおかげか。
ありがとう、Miracle。
俺は心の中で手を合わせる。
しかし深音の上機嫌は、長くは続かなかった。
「……あ」
スタジオの空気が、一気に変わる。
それは、今の日本で一番売れてるバンドが、
メンバー全員で現れたからだった。