君と、世界の果てで
「おぅ……悪いな、呼びにくい名前で」
「いえ、あの」
「何?」
「ご親族だけの式に乗り込んでしまって、申し訳ありません。
翼さんのおかげで、陸に会えました。
ありがとうございます」
そう言うと、深々と頭を下げた。
何か言わなければ。
そう思っているうちに、彼女は、
「では、また」
と、待っていた崇文の方に、背を向けて歩いて行ってしまった。
きっと、泣いているんだろう。
彼女が、陸の首をしめたんじゃないか、なんて。
どうして、一瞬でもそんな事を思ったんだろうか。
では、あの微笑みの意味は。
いったい、何だったのだろうか。
彼女の、美しさが。
彼女自身を、妖しく思わせるのだろうか。