君と、世界の果てで
「あの子……陸君の彼女なら、何とかできなかったのかな」
紗江がカップの中の水面をにらみながら言う。
「何とかって?」
「一番近くにいるんだから、何に悩んでたか、わかりそうじゃない。
陸君を助けられなかったのかな」
……考えた事もなかった。
彼女が、陸を救ってくれたら、なんて。
「……そんな事望むのは、酷だろ。
俺だって、何もできなかったんだから」
「そりゃ、翼はたまにしか会わなかったんだし」
「関係ねぇよ。
きっとあの子だって、辛い思いをしてる。
察してやれよ、同じ女なんだから」
紗江の発言に、イライラした。
何で、自分の都合ばかりで、人を責める?
責められるべきは、最後に会った俺なのに。
陸の死を心から悲しんでくれてるのは、わかるが……。
そんな俺の気配が伝染したのか、紗江もイライラしているように見えた。