君と、世界の果てで
なんだ、一人じゃなかったのか……。
いやいや、何をがっかりしてるんだ、俺は。
「でかい声出すな」
「翼さん、すげぇイケテる……喪服もイケテたけど……
やっぱ、タッパがあるといいなぁ」
「あぁ?バカにしてんのか?」
威嚇しながら二人の前に座ると、ふざける崇文の腕を、深音がつんつんとつついた。
「あ、そうだ。
あの、俺達、困ってて……力を貸して欲しいんです」
崇文は、顔の前で手を合わせて、お願いポーズをした。
「可愛くねぇんだよ。
何に困ってんだ?一応言ってみろ」
「メンバーが見つからないんです」
「はぁ?」
「呪われたバンドって噂が出ちまって……
ドラムもやめちまったんです」
崇文は、ショボンとうなだれた。
深音は眉間に皺を寄せて、崇文をにらむ。
「噂は、余計」
「あ、ごめん……」
そうか。
陸が死んだせいで。
そんな噂されてんのか。