君と、世界の果てで


1曲目が終わる。


何だ、こりゃ。


前のボーカルとはケタ違いじゃないか。


観客は、だんだんと正気に戻り、歓声をあげた。


隣の彼女まで拍手をしている。


それらがほぼ止んだ時、彼女が再び口を開いた。



「こんばんは。WORLDS ENDです」



バンド名を、ぽつりと呟く。


また、パラパラと拍手が舞う。



「今日は、お集まりいただき、ありがとうございます」



ミオ、と彼女の名前を呼んでいるらしい声が、あちこちから起こった。



「どうもありがとう」



と、丁寧に返事をしてから。


曲調が違う歌を何曲か、歌ったのだが。


彼女が歌うと、全てが幻想的に聞こえてしまう。


こんな事は、初めてだ。


毒にやられたようにボーッとした頭のまま、ライブは終わりを告げた。


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