君と、世界の果てで
「よう」
「あ、翼さん、おはようございます!」
2週間後、WORLDS ENDがいつも練習場所に使うというスタジオをたずねた。
崇文が、元気良く挨拶をしてくれる。
「ドラムも、連れて来た。
渚だ」
「うわ、マジで!?渚さんだ!」
「どもー」
渚は、俺の前のバンドでドラムを叩いていた男だ。
あきらめ半分で誘ったら、意外なことに乗り気で快諾してくれた。
半年前やめるまで、俺のバンドは、地元で結構有名だった。
「ちょうど暇だからさ。
まさか、こいつにまた誘われると思わなかったし」
「悪いな。弟の尻拭いにつきあわせて」
「お、君が噂の美人ボーカル?」
どうしてこう、俺の周りは皆チャラいんだ。
渚は、すみにいる深音に、ニコニコと笑いかける。
深音は、ぺこりとおじぎをした。
今日は、胸が開いてない服だ。
良かった。集中できる。
「あの、翼さん、どんな具合ですか」
「意外と苦労したな。指が固まっちまってて」