君と、世界の果てで
「これでも、鈍ってる方だよな」
「やっぱ、毎日弾かねえと、こうなるわな」
俺と渚の会話に、崇文があんぐりと口を開ける。
「ギター君も、悪くないね。
就職決まってて暇だから、ヘルプで入ってもいいよ」
「ま、マジで!?渚さん!!」
「ギャー!」
喜ぶ崇文に抱きつかれた渚は、悲鳴をあげた。
呆れて見ていると。
不意に自分の背中に、柔らかな感触を感じた。
同時に、甘い香りが鼻をくすぐる。
腹に、白い手が巻きついて……
「なにっ!?」
気づけば、
背中から、抱きつかれていた。
他でもない、深音に。
「な、な、なんだ、お前は!!」
「だって、崇文ばっかりズルい。皆と仲良くして」
「はぁ!?」
深音は、腕をコアラのようにしたまま、するりと俺の前へ移動した。
バカバカバカ!!
胸が、当たってんだろ!!
「うわ、いいなぁ翼」
「うるせぇ!!」
渚の軽口に、頬が熱くなる。