君と、世界の果てで


バチンと、テーブルの上の手を叩かれた。


クソ、やっぱり怒られた……。



「それまで、練習で忙しくて……すまん。また、連絡する」


「またしばらく会えないのね。

だから、バンドなんかやってほしくなかったのに」


「……」



何で一言でも、頑張ってね、とか言えないんだろう。


自分勝手なのは俺だ。それはわかってるけれど。


そんな言い方をされると、素直に反省する気も失せる。


バンドをやめる時も、そうだったな。


「会える時間が増える」


と、喜ばれた。


それは、普通の男なら、嬉しい事だろうけど。


俺は、違う言葉を期待していた。



「昔は応援してくれたのにな……」



思わずこぼれた言葉に、紗江がまた眉をひそめる。



「それは、部活だったからでしょ。

付き合ってもなかったし」


「もういい。俺が悪いんだ」


「何よ、それ」


「俺が自分勝手なんだろ。

それが嫌なら、もういい」



何故、俺はこんな言葉を口走っているのだろう。


< 99 / 547 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop