君がいたから。
話かけようとした俺に、小さく聞こえた声。
「蒼…。」
「…っ。」
そんな風に名前呼ぶなよ…
"抱きしめたい"
そんなことが頭をよぎったが抑えた。
ドサッ、────────
穂乃花の隣に座ると、驚いた顔で穂乃花が顔を上げた。
「え?」
「俺が心配してんのは、お前だよ。」
そんなことを言う俺に、うつむいて、
「…ばかっ。」
と、呟いた。
そんな穂乃花の頭を撫でていると、いつの間にか聞こえてきた寝息。
穂乃花の寝顔に、胸が痛くなった。
寝顔を見れるのも、一緒に騒げるのも、俺がそばにいられるのも後少し。
できるなら、"好きだ"って伝えたい。
でも、穂乃花にとって俺はただの幼なじみ。
自分の気持ちを押し殺すかのように、部屋を出た。