君がいたから。
「蒼っ、私ね…っ、」
「うん?」
「蒼のことが、好き…っ。」
穂乃花の一言に、戸惑う。
穂乃花が俺のことを好き…?
俺がずっと望んでた一言なのに…
「…ごめん。穂乃花とは、付き合えない。」
本当は付き合って、俺だけのモノにしたい。
でも、引っ越してしまう俺は、目の前で泣く穂乃花を抱きしめてやれない。
さっきまで穂乃花を抱きしめていた熱が、どんどん冷めていく。
「…っ、…。」
穂乃花は立ち上がると、ドアの方へ向かった。
引っ越すことを今言えば、穂乃花は俺のことを気にしないで済むかもしれない。
俺には、それくらいしかできない…
「俺さ、引っ越すことになった。」
「え…、?」
俺のこと、嫌いになって…?
「嘘、でしょ…?」
ごめん…
離れていく俺を、許して。