君がいたから。
「穂乃花、帰るぞ。」
あっという間に放課後になって、蒼が私のところに来た。
「うん!加奈、また明日ねっ。」
「ばいばーいっ!」
加奈の返事を聞いて、教室を出た。
帰り道、新しく出来たクレープ屋さんに寄る。
私はストロベリーチョコ、蒼はチョコバナナを頼んだ。
もちろん、遅刻のお詫びで私の奢り。
「んーっ、おいしー!」
クレープを頬張って、喜ぶ私。
そんな私に、
「幸せなやつ。」
蒼は呆れたように言った。
「うるさいなー。あ、蒼の一口ちょうだい?」
「仕方ねーな。お前のも一口ね。」
2人でクレープを交換して、一口食べる。
「あー、私もチョコバナナにすればよかったな。」
「じゃあ、それやるよ。」
甘い物が大好きな私に、蒼の神様のような一言。
「ありがとうっ。」
そう言って2つのクレープを持つ。
そんな私を見て、蒼は優しく微笑んだ。