君がいたから。
家の近くになると、家の前に女の人が立っていた。
見たことのある、シルエット。
「鈴…。」
私より先にその名前を呼んだのは、蒼。
白石鈴(シライシスズ)。私の3つ上のお姉ちゃん。
「お姉ちゃん…?」
私の声に気付いたのか、お姉ちゃんはこっちに向かって来た。
「穂乃花っ!あ、蒼も!久しぶりー!」
そう言ってお姉ちゃんは、私を抱きしめた。
「久しぶりだね、お姉ちゃん!」
お姉ちゃんを抱きしめ返すと、優しい香りがした。
「今日から少しの間、家に帰ってくることにしたの。」
それから家のリビングで、お姉ちゃんの話を聞いた。…なぜか、蒼も。
「え、じゃあ、鈴は当分こっちにいんの?」
「うん!」
少し離れた街で一人暮らしをしているお姉ちゃん。
きっと、お姉ちゃんの話を一番喜んでるのは、蒼。
だって、蒼がお姉ちゃんに見せる笑顔は、
「えー?そう?」
「おぅ!」
私に見せたこともない、笑顔だから。