終わり、始まり!
「あーあ、どうしよう」
毎朝見るニュース番組。今日は占いのコーナーしか集中して見てなかったから、家から傘なんて持ってきてなかった。
そういえば、占いコーナーでの恋愛運は結構いい方だったのになぁ。
嗚呼、今日はなにもかもうまくいかない日だ……。
「傘ないんだ?」
「うん、持ってこなかった」
「…………あ!」
突然、山本は何かを思い付いたように声を上げた。
私はその声に一瞬驚いて、ビクッと体が跳ねる。なんだ、急に。
「どうしたの? びっくりさせないでよ」
「俺の傘でよかったら貸してやるよ!」
山本は、さっきからずっと持っていたであろう黒い傘を勢いよくこちらに差し出した。